白いシャツの困りごと

北陸「すごい合繊」アパレル直販

丸井織物(石川県中能登町)は9月、同社の先端技術を集結した「永遠シャツ」をクラウディングサイト「Makuake」で発売した。このシャツは、一見すると普通の白いシャツ。しかしソースやケチャップの油汚れを弾く。速乾性でアイロン不要、汗に寄る襟の黄ばみを抑制、日焼けしにくく、抗菌・防臭(後略)。

10月20日付 日経MJ五面「北陸「すごい合繊」アパレル直販」
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ビジネスチャンスはニーズと強みを何度も行き来して見つける

この記事でまず注目したいのは「消費者の白いシャツに関する悩みを調査し、同社の技術者集団が考案した」という部分。つまりユーザの悩みを分析し、社内の先端技術を結集させて開発したという「流れ」です。ともすれば、社内の技術から出発しがちな製品開発ですが、このケースは社会のお悩みを起点としています。どんな製品やサービスも、ニーズがないとビジネスはなりたちません。

ところが「ユーザの悩みすなわちニーズを分析して自分たちの強みを活かして対応する」と書き表すと「ニーズ→強み」という一方通行のイメージをもたれるかもしれません。しかし実際には、ニーズと強みの間を何度も何度もぐるぐる行き来してビジネスチャンスを探っていくことになるはずです(下図参照)。なぜなら、ひとことでニーズと言いますが、それはとても捉えにくいものだからで、記事にはさらりとしか書いてありませんが、丸井織物さんも、ニーズと強みの間を、果てしなくぐるぐる回ってビジネスチャンスを見出したはずです。

ニーズに強みを対応させるイメージ

「あたりまえ」「仕方ない」に重要なニーズが潜む

ニーズは捉えにくいと書きました。例えば、白いシャツのシミや黄ばみなどの汚れが目立つのは「あたりまえ」「仕方のないこと」になっていませんか。言い方を変えると、汚れない白シャツを探す人はいないと言えます。つまり白シャツの汚れは無意識下の困りごとになっていると言っていいでしょう。無意識ですから捉えにくいのです。

この記事で注目したい次のポイントは、この無意識化の困りごとを「汚れにくい白シャツ」を提示して意識化したところです。意識化された困りごとには、それを解決したいという気持ちが働くものです。つまり「欲しい」という感情に繋がります。「あたりまえ」「仕方のないこと」の裏側にニーズが隠れていることがあるのです。そのニーズは気づいている人が少ないので、競争相手の少ない市場を拓く可能性があります。

丸井織物さんは、ニーズと強みの間を果てしなくぐるぐる回る中で、「あたりまえ」や「仕方がない」を探したのでしょう。そしてそこから新しいニーズを掘り起こしたと言えます。あなたのお客様が「あたりまえ」「仕方がない」と思っていることは何でしょうか。

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