【自分で書く】事業計画書が求める「自社の強み」の考え方

例えば小規模事業者持続化補助金の申請書には「自社や自社の提供する商品・サービスの強み」を記す欄があります。このように「強み」は合理的で説得力のある事業計画に欠かせない要素です。ところが、このお話をすると「なるほど。でもウチには「強み」といえるものは…」というお声をよくいただきます。そこで今回は御社の「強み」の見つけ方をお伝えします。

目次

見つけるためには、見つけようとしない

「強み」とは「特長」や「長けている点」のこと

そもそも「強み」という言葉自体に違和感を覚える方も多いでしょう。普段なかなか使わない言葉ですから。例えばサッカーの試合で、監督や解説者が「チームのストロングポイントを活かして…」と語ることがありますね。ストロングポイントとは、そのチームの特長や長けている点です。「強み」も同じで、会社の特長や長けている点のことです。

「特別な何か」を見つけようとしない

強みとは何のことかわかったけど、やっぱりウチには特にないなあ、とお感じではありませんか。「強み」とか「長けている」と聞いて「特別な何か」を見つけようとしていませんか。

それでは、練習としてご自身のことを考えてみましょう。簡単なワークです。今日、「良かった」と思えることを、5つ思い浮かべてくださいというものです。

「5つもないよ」と思うかもしれません。でも、ここで大事なのは「とにかく5つ」考えることです。試しに「良かった」のレベルを下げてみてください。特別な何かではなく「小さな良かった=できたこと」を見つけることがコツです。例えば私なら、「予定通りに起きることができた」「家族と食事できた」「ブログに記事を投稿することができた」などをあげるでしょう。このように「できたこと」なら5つあがるのではないでしょうか。

会社についても同じです。長く続いていること、納期遅れがない、製造事故がない、Aさんは10年来のお客様だ、のように、特別な何かではなく「できていること」をあげてください。ここで見つけたものが「強み」のヒントです。なお、コロナ禍で様子が変わったかもしれませんが、会社の基本的な強みを考えるので、コロナ前に遡っても構いません。

 見つけたものの、本質を探るべし

「強み」は「できていること」の影に隠れている

さて、「できていること」がいくつかでたら、それらを支えている要因を考えてください。例えば「納期遅れがない」のは納期管理担当Cさんの仕事の成果なら「当社は納期管理に長けている」と言ってよいでしょう。このように強みは人の仕事ぶりに隠れていることがあります。

また、異物混入などの「事故がない」のであれば、普段の品質管理の工程がしっかり働いているのではありませんか。この場合「品質管理に長けている」と言えます。当たり前のように実行している仕事に強みは隠れていることがあります。

Aさんが10年以上もお客様でいてくださるのなら、御社に存在する何かが評価されているはずです。このような場合にはAさんに聞いてみましょう。顧客からは思ってもいないことが評価されていることがよくあります。

このように考えていくと御社の「強み」は見えてきます。

合理的で説得力ある表現のために

顧客の視点で考える

ここまで、「強み」の見つけ方をご紹介してきました。ここからは、事業計画書への「強み」の書き方を検討していきます。例えば、先に挙げた「納期管理に長けている」という強みは、どのように表現すると説得力が高まるでしょう。

ポイントは、その「強み」は顧客にとってどのような価値になるか「顧客の視点」で考えることです。例とした「納期管理に長けている」ことは、顧客にとってどのような価値になるでしょうか。顧客の立場になって少し考えてみてください。

顧客の立場から自社を見てみる

顧客にとっての価値とは、顧客の課題解決に貢献することです。

例えば、顧客が事業者の場合(BtoB)です。企業の課題は製造上の課題(品質・コスト・納期)やマーケティング上の課題(製品開発、値決め、販路、販促)、それから管理上の課題(在庫、資金管理、人材教育)などに整理できます。これらの課題の解決に自社が貢献できることを考えてみましょう。

例えば「納期管理に長けている」ことは、顧客にとっては仕入れの安心感につながります。さらに言えば必要なものを、必要なときに、必要なだけ仕入れれば良いので、余計な在庫をもたずに済みます。つまり「在庫コストの圧縮」さらには「資金繰りの改善」につながる可能性があります。

これらを踏まえて、「我が社は納期管理を強みして、お客様の在庫コストの圧縮に貢献しています」と書くと、合理的で説得力ある説明になるのです

顧客が消費者の場合(BtoC)はもう少し複雑で、「生存に関すること」「安全な生活に関すること」「社会での所属や承認に関すること」などの視点があります。また課題解決というより欲求の解決と言ったほうが自然ですね。

例えば、コロナ禍では「生存」や「安全」に関する「感染防止の欲求」が高まりました。一方で自粛生活の長期化によって「社会での所属」を確認したいという「人に会いたい欲求」も高まっています。これらの欲求不満の解消の視点で考えてみましょう。

*この記事は、東京都中小企業振興公社「オンライン販路開拓ナビ」に執筆したコラムに加筆したものです。

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