〈書評〉プリンセス・マーケティング 谷本理恵子 著

男性にとって女性心理は謎多きものです。本書を読めば謎が全て解明できるのかというと、さすがにそうではありませんが、男性と女性の心理はどこが違うのか、そのポイントを押さえることができます。

本書は、女性を対象とする製品・商品・サービスを扱っている男性にお勧めするのはもちろんですが、「男どもはここがわかっていないのね」ということを確認できますので、女性にも手にとっていただきたい一冊です。

さて、本書の面白さは、タイトルにあるとおり「プリンセス・ストーリー」で女性心理を解説しているところです。これが実にわかりやすい。

「プリンセス・ストーリー」とはディズニー映画に代表される「女性が主人公の典型的な物語」です。例えばシンデレラ、リトル・マーメイド、美女と野獣、アナと雪の女王などなど。これらの物語の主人公は、自分の今の姿は「仮の姿」と認識していて、「本来あるべき自分」を求めて行動します。

そして本来あるべき自分に変えてくれるのは自身の努力ではなく「一瞬」で変えてくれる「魔法」。本書は女性が共感するのはこのような物語であると解説します。

なるほど。なぜ妻の買い物は時間がかかるのか、などの謎が少し解明できた気がします。

AITTTASモデル

ヒトの購買行動モデルに電通が提唱した「AISAS」モデルがあります。上記は少し時間の概念を取り入れてみました。男性は興味に対して時間をかけて徹底的に検索して情報収集しますが、女性は「魔法」を求めてとりあえず「試す」。洋服だと「試着」「試着」「試着」という流れになります。本書には「女性は検索しない」「出会ったものはとりあえず試す」とありますが、図に示すとこのような感じになるでしょう。

読後、念のため妻に確認してみました。「ねえ、ディズニーのプリンセスものって、こういうことなの?」「そうよ、そんなことも知らなかったの?」

やはり、一読しておくことをお勧めします。

プリンセス・マーケティング 「女性」の購買意欲をかき立てる7つの大原則
谷本理恵子 著 エムディエヌコーポレーション 刊

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