【自分で書く】事業計画書が求める「顧客ニーズ」の考え方

前回のコラム「自社の「強み」の表現の磨きかた」では「強みは、顧客にとっての価値に置き換えて表現すると伝わりやすくなる」と結びました。顧客にとっての価値とは顧客が求めていること、つまりニーズです。顧客のニーズについて理解を深めると、強みを説明する表現はより研ぎ澄まされ、顧客の心に刺さりやすくなるはずです。そこで、ここでは顧客のニーズを考えてみることにします。開拓したい未来の顧客のニーズです。

目次

視点① ニーズとは理想と現実の間のギャップ、つまり困りごと

ニーズは人間の心の動きによるものなので捉えにくいのですが、一般的には「理想と現実の間にあるギャップ(隔たり)を埋めたい気持ち」と言われています。

平易に言えば「こうだったらいいのに(でも現実はこうだ)」という気持ちです。

例えば「喉を潤したい(でも水がない)」という気持ちです。事業においては「この精度で加工したい(でも技術が不足している)」「在庫を減らしたい(でも減らすと不安だ)」という気持ちです。「不足」「不安」「不満」のように「不」がつく気持ちと共にあるとも言えます。したがって「困りごと」といってよいでしょう。未来の顧客のニーズは「困りごと」の視点で探すと見つけやすいでしょう。

さて、ひとは困りごとを解決するためには検索エンジンでその方法を検索します。例えば、表計算ソフトのセルの操作がわからないときに「表計算 セル操作 できない」のように検索することがあると思います。ですから検索エンジンの窓に入力されるキーワードを分析すると、未来の顧客のニーズを把握することが可能です。

視点② 言葉になっているニーズと、まだ言葉になっていないニーズ

検索エンジンの窓に入力されるキーワードは未来の顧客のニーズ、と述べました。言葉を足すと、このときに検索されるのは、「頭の中で言葉になっているニーズ」です。

一方で「頭の中で言葉になっていないニーズ」もあります。例えば、家電製品で留守中に床を掃除してくれる掃除ロボットがあります。この掃除ロボットが発売される前に「留守中に床を掃除してくれる家電があったらいいのに」と感じていた人はまれだと思います。でもあの掃除ロボットが発売されると「実はそれが欲しかった」と気がつきます。このように、また頭の中で認識されていない「言葉になっていないニーズ」も存在します。

さて、「言葉になっているニーズ」は、それに対応しようとするライバルも存在するため、すでに競争が始まっている分野といえます。一方で「言葉になっていないニーズ」にはライバルがいませんので、その分野を開拓できればリーダー(第一人者)として存在感を示すことが可能です。

「言葉になっていないニーズ」を探るには、検索されるキーワードの裏側にある事情に想いを巡らせ、文章の行間を読むように、キーワードとキーワードの間に潜む心理を読むことが求められます。

視点③ B to BB to Cで異なるニーズ

ニーズは「理想と現実の間のギャップ」とお伝えしました。このニーズは消費者と事業者ではやや異なります。

事業者のニーズは仕事に関することです。例えば、製造の現場では「品質向上」「コスト削減」「納期短縮」、販売の現場では「新製品開発」「適正価格の実現」「販路開拓」「販売促進」などに関する「理想と現実の間のギャップ」がニーズとなります。

このコラムでは事業者間取引(B to B)を中心に述べていますが、参考として消費者にニーズの見方について少しご紹介します。

消費者の場合は事業者に比べて少し複雑で、「生存に関すること」「安全な生活に関すること」「社会での所属や承認に関すること」などの視点があります。例えば、コロナ禍では「生存」や「安全」に関する「感染防止ニーズ」が高まりました。一方で自粛生活の長期化によって「社会での所属」を確認したいという「人に会いたいニーズ」も高まっています。このような視点が消費者のニーズを探る糸口になります。

顧客にとっての価値とは顧客が求めていることです。「困りごと」「言葉になっているかどうか」「仕事に関する困りごと」などの視点から理解を深めると、強みを説明する表現はより研ぎ澄まされ、未来の顧客の心に刺さりやすくなるはずです。

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